不倫慰謝料のトラブルを回避するポイント

文責:弁護士 小島隆太郎

最終更新日:2025年07月10日

1 不倫慰謝料請求には段階に応じた留意点がいくつもあります

 不倫慰謝料の請求は、感情が強く働く事件類型ではありますが、あくまでも法律に基づいて進めていく必要があります。

 不倫をされた側による証拠集めから、不倫慰謝料の請求と交渉、訴訟に発展した場合の訴訟対応など、それぞれの段階において留意すべき点はたくさんあります。

 請求する側も、請求される側も、対応を誤ってしまうと適切な形での示談等ができないだけでなく、場合によっては別の法的問題に発展してしまう可能性があります。

 以下、不倫慰謝料請求の時系列に沿って、請求する側、および請求される側それぞれが留意すべきことについて説明します。

 

2 (請求する側のみ)証拠集めの段階における留意点

 不倫慰謝料の請求は、証拠を集めることから始まります。

 集めるべき証拠は、不倫をした配偶者と不倫相手との間における性的関係(不貞行為)の存在を証明できるものです。

 証拠が十分に揃わない状態で不倫慰謝料の請求をすると、支払いを受けられないことに加え、相手に証拠を消去されてしまう可能性もあります。

 また、証拠集めの際に、配偶者のパソコンやスマートフォンのパスワードの解除や、不倫相手の自宅敷地内への侵入などをすると、違法行為になることもあります。

 逆に損害賠償請求をされてしまうことや、刑事事件に発展する可能性もあるため、慎重な行動が必要です。

 

3 不倫慰謝料請求・交渉の段階における留意点

⑴ 不倫慰謝料を請求する側

 証拠が揃ったら、配達証明付内容証明郵便を用いて不倫慰謝料を請求する旨の連絡をします。

 不倫慰謝料の請求は、口頭や普通郵便でも可能ですが、配達証明付内容証明郵便を用いることで、不倫慰謝料を請求する旨を記載した文書が相手に届いたことを客観的に証明できます。

 これにより、不倫慰謝料を請求した事実の存在自体について争われることを防止できます。

 相手と連絡が取れたら、不倫慰謝料の支払い等に関する交渉を行います。

 交渉は、あくまでも事実と法律に基づいて進めます。

 要求を受け入れなければ不倫の事実を周囲に伝える旨を告知するなど、脅迫に該当する行為をしてしまうと、後で示談の有効性について争われてしまう可能性があります。

 示談が成立したら、不倫慰謝料の金額、支払い方法、支払期限、その他遵守事項等を正確に記載した示談書を作成し、当事者が署名、押印(実印を用い印鑑証明書も添付する)します。

 示談書を作成しておかないと、後日示談の成立や内容について、争われてしまうことがあります。

⑵ 不倫慰謝料を請求された側

 不倫慰謝料を請求する旨の配達証明付内容証明郵便が届いたら、無視はせず、できるだけ早く適切な対応を行う必要があります。

 無視をしてしまうと、訴訟を提起されてしまう可能性があるためです。

 まず、請求の内容をしっかりと読み、慰謝料の金額が相場を大きく上回っていないか、公序良俗に反する要求がなされていないかを確認します。

 内容を鵜呑みにして、請求に応じる旨の回答をしてしまうと、撤回することが困難になります。

 交渉の際には、事実と異なる点があればしっかりと反論をし、相場に基づいた慰謝料を支払う旨や、受け入れるべきでない要求については合意しない旨を伝えます。

 示談が成立したら、示談書の内容に従って慰謝料の支払い等をします。

 示談書の内容に従わない場合、訴訟を提起されてしまう可能性があります。

 

4 訴訟になった段階における留意点

⑴ 不倫慰謝料を請求する側

 配達証明付内容証明郵便を送付しても相手と連絡が取れない場合や、交渉が決裂した場合には、訴訟を提起して不倫慰謝料を請求します。

 訴訟は交渉とは異なり、裁判所で、不倫慰謝料請求の根拠となる事実の主張と立証(証拠をもって事実を証明すること)を行います。

 裁判官が、不倫慰謝料の請求を認めるに足る事実が存在していると判断した場合には、勝訴となります。

 訴訟は民事訴訟法という法律に従って進めていく必要があります。

 法律上意味のないことをしてしまうと、請求が認められなくなることもありますので、弁護士に依頼することをおすすめします。

⑵ 不倫慰謝料を請求された側

 訴訟を提起された場合も、放置をしてはいけません。

 何も対応をしないでいると、民事訴訟のルール上、敗訴してしまうことがあるためです。

 訴状の内容をよく確認し、真実と異なる主張がある場合や、不倫慰謝料の支払いを拒絶できる別の事実がある場合には、その旨を記載した書面を裁判所に提出します。

 不倫慰謝料の請求をされた側においても、民事訴訟法に従って訴訟を進めていく必要がありますので、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。

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不倫の慰謝料請求について

不倫の慰謝料の相場は、請求された側・請求する側どちらの立場にとっても、大きな関心事かと思います。
不貞慰謝料は、この場合はいくらと明確に決まっているわけではありません。
過去の裁判例から、相場を把握することはできますが、その金額の幅は広く、不倫期間や婚姻期間、子どもの有無など、各夫婦の状況によって金額が前後します。
場合によっては、相場より高額になるケースもありますし、反対に、相場よりも低額になるケースもあります。
慰謝料を請求された側としては、提示された金額が相場よりも高額な場合は減額交渉を検討するかと思います。
ただ、交渉に慣れていないと、うまく対応することができず、相手の感情を逆なでてしまい、交渉が決裂してしまうということも考えられます。
どれぐらい減額できそうなのかという点も、不倫の慰謝料に詳しくないと、判断が難しい部分かと思います。
弁護士が状況などをお伺いし、対応方法をアドバイスさせていただきますので、まずは一度、弁護士にご相談ください。
弁護士にご依頼いただければ、代わりに交渉することも可能です。
不倫の慰謝料請求をお考えの方も、すべてご自身で対応するとなるとご負担が大きいかと思いますし、判断に迷う部分もあるかと思いますので、一度弁護士に相談することをおすすめします。
不倫問題の迅速な解決に向けて弁護士が尽力いたしますので、埼玉にお住まいの方で不倫慰謝料のことでお悩みの方は、ご相談ください。

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